さとり世代の日常

さとり世代の現役バーテンダー。接客サービスやお酒について偉そうに語るブログです。

「お客様は神様問題」を今はサービス側が逆手にとっている。

 

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お客さまは神様でもなんでもない。

僕も以前は「サービス側を見下す客は客ではない。」

と思ってました。

本当にそうなのかな?と最近は思います。

 

お客様は神様

「お客様は神様」という言葉はもともと、演歌歌手の三波春夫さんが

”ステージにいる演者から見た、客席の聴衆”

に対して

”歌うときは、あたかも神前で祈る時のように、澄み切った心でなければ完璧な芸は見せられない”

という意味での発言だったのですが、それが「クレーマーの常套句」として間違った意味で広まってしまったようです。

でも今はサービス側が都合よく使っている気がするんですよね。。。

 

サービスマンとしての体験談

自分、とあるレストランでサービスをやっております。

今のお店に来てもうすぐ2年。

ここで会った先輩にホスピタリティの鬼がいるのですが

その先輩から入社当時に教わった話。

 

うちのお店はランチ営業もしており、満席になることはあまりないですが、その日は近くでイベントもあり来客が止まらず、ありがたいことに満席になりました。

そこに2名様が来店。

自分が対応し、今は満席ですぐに帰られるお客様はいないので待っていてもご案内は難しい。ということを伝えお断りしたのですが、

 

「遠くから来たんだけど、なんとかして席作れないの?」

 

と、言われました。

 

(まわり見てくれよ。。。無理に決まってんだろ。)

(しかも入り口に「本日満席」の表示あったでしょ。。。)

心の中で思い、忙しかったので無理矢理でも納得してもらって帰ってもらおうとしました。

 

その時、近くで聞いていたその先輩が

 

「少々、お待ちいただいてもよろしいですか?」

 

と引き留め、キッチンに行ったと思ったら、今度はそのお客様と話をし、お店の倉庫にあったテーブルと椅子をセッティングして通路ギリギリの位置に席を作り始めました。

 

「お待たせいたしました」

 

結局そのお客様たちは喜んでお食事をされ、笑顔で帰られました。

自分としては

 

「そこまでする必要あるのかな」

「シェフもよく許したな」

「通路近くであまり落ち着かないだろうな〜」

 

くらいに思ってました。

 

 

その日の営業後、先輩から呼び出され、

「けんたろ君、今日の反省点。お客様をすぐお断りしたよね。」

「え、そうですね・・・でも満席でしたし、、忙しかったし、、」

「確かに席は埋まってたんだけど、別の席を作れないほどではなかったんじゃない?」

「・・・」

「俺は別に2名分の売り上げが惜しくて、ああしたんじゃないよ?

このお店がいいな、って思ってわざわざ来てくれたお客様に対して、何もしないで帰したくないだけ。」

 「・・・」

「お店としてできることはしてあげて、それでもダメなら仕方ない。そこからはお客様が選ぶことだから。」

 「・・・」

「でも【遠くから来た】ってセリフは誰だって言いづらいことなんだよ。それを「満席だから」ってすぐ諦めて断るのは優しくないな。って俺は思うけど。」

 「・・・」

「お店側目線だけの仕事は、それが正しいとしても俺は「仕事してる」とは思わないな。」

「・・・(かっけぇ・・・)

 

確かにうちのお店、駅徒歩10分くらいの立地で駅近とは言えません。

たぶん事前にお店を調べて来てくれるお客様が多いです。

そんなことも考えずそれまで「満席だし無理だな〜」とすぐ諦めて断ってました。

しかも今回の場合は、「わがままだな!嫌な客!」と勝手に思い込んでました。

 

でもサービスってそうじゃないよなって。

自分が客だったら先輩のようにしてくれたら嬉しいし、ダメでもお店の誠意は感じますよね。

そしたら今度は「予約して行こう」ってなってくれるかもしれない。

何よりどちらも嫌な気分にならない。

本当にお客様目線で考えてないと、喜ばれる仕事はできないな〜

と反省した1日でした。

 

 

僕なりの「お・も・て・な・し」解釈

確かにサービス業をやっていると横柄な人にも遭遇するし、

明らかに理不尽なことを言い出す人もいます。

僕が話した実体験なんてかわいいものです。笑

 

「バカな客にこんなこと言ってやってスカッとした!」

 

って話を最近はよく見るし、テレビなんかでも流れたりしている。

もちろん中にはひどい話もあるけれど、そんなのは極少数だと思う。

むしろそういう【極少数】の例が広まりすぎて

「客と店員は対等な立場で当たり前」

って風潮になりすぎていると思う。以前の僕みたいに。

でもそれって全然win-winじゃないし、

そんな仕事、楽しいのかな?って今は思う。

 

ちょっとクセがあったり扱いづらい人こそ実は隠れた思いや願望があって。

それをくみ取ってあげると意外と気に入られたり、その後も常連さんになることが多い。

むしろそういう人ほどこっち側の状況を感じとって、申し訳ないほど気遣いをしてくれることもある。

そういう関係を築けた時の喜びを感じることも、サービス業のやりがいだと僕は思います。

 

 

これからのサービス業について

上記については僕個人の意見ですし、日本のおもてなし精神が逆に非効率で利益を生まない。という記事も読みました。

アメリカなんかと違ってチップ文化のない日本でこれからの時代、やりがいだけでやっていくのも難しいとも思います。

「サービス業」というあり方が変わってくるかもしれない。

僕はそんな仕事になってしまうならAIで充分だし、いずれ人間が淘汰されていくと思います。

人が人に愛されて、そんな人がいるお店や会社が伸びていくと思います。

 

まとめ

長くなりましたが自分の外食産業の立場として、日本の「おもてなし精神」がなくなってほしくないと思いブログに書いてみました。 

めちゃくちゃな構成で下手な文章、すみません。笑

 

あれから約2年、先輩から聞いた言葉を今でも考えながら仕事をしています。

自分なんてまだまだですが、小さな気遣い、心遣いでもお客様が過ごす時間だったり帰るときの表情やリアクションが全然違うんだなぁ。と今でも感じます。

これからもこの気持ちを忘れず、地域や社会に愛されるプロの「仕事」を目指して頑張っていきたいと思います。

 

 

以上、僕の好感度アップなお話でした。